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業務改善助成金とは?条件・金額・申請の流れをわかりやすく解説

ミノル / 更新:2026-07-07
業務改善助成金とは?条件・金額・申請の流れをわかりやすく解説
設備を入れたいけど資金が足りない、賃金も上げたい——その両方を一度に片づけられるのが業務改善助成金です。結論から言うと、これは職場の最低賃金を30円以上引き上げ、あわせて業務効率化の設備投資などを行う中小企業に、その費用の一部(最大9割)を国が支給する制度です。
  • 業務改善助成金は「最低賃金の引上げ」と「業務効率化のための設備投資」をセットで行う中小企業向けの制度。
  • 申請の3条件は、地域最低賃金との差が50円以内・30円以上の賃上げ・効率化につながる設備投資。
  • 設備の購入は交付決定後でないと対象外になるため、申請前の発注は絶対にしてはいけない。
  • 賃上げは実績報告後も維持義務があり、引き下げると助成金の返還を求められる。
  • 不明点は業務改善助成金コールセンター(0120-366-440)で相談できる。

業務改善助成金とは?制度の目的と対象をわかりやすく解説

➀~たしかめよう~ 業務改善助成金の概要について
➀~たしかめよう~ 業務改善助成金の概要について

業務改善助成金とは、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げ、生産性向上のための設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する厚生労働省の制度です。

ねらいは単純明快で、「賃上げの原資を、効率化で生み出してもらう」こと。人を増やさずに同じ仕事を回せる設備を入れれば、その分の余力で賃金を上げられる、という発想が根っこにあります。

だから助成の対象は賃金だけではなく、賃上げとセットで行う設備投資や研修の費用になります。ここが「単なる賃上げ補助」と違うところです。

事業場内最低賃金とは何か(用語の意味)

事業場内最低賃金とは、その事業場(お店・工場・事務所など)で最も低い時間給のことです。パートやアルバイトも含め、その場所で一番安い時給がこれにあたります。

混同しやすいのが「地域別最低賃金」。こちらは都道府県ごとに国が定めた最低ラインで、事業場内最低賃金はこの地域最低賃金を下回ることはできません。

業務改善助成金では、この「事業場内で一番低い時給」を基準に、そこから30円以上引き上げるという考え方をします。全員一律に上げる必要はなく、まず一番低い人を底上げするイメージです。

申請できるのは中小企業のみ

業務改善助成金を申請できるのは、中小企業・小規模事業者に限られます。大企業は対象外です。

中小企業かどうかは、業種ごとに「資本金の額」または「常時使用する労働者数」で判定します。どちらか一方を満たせば中小企業として扱われます。

中小企業・小規模事業者の範囲(いずれかを満たせば対象)
業種資本金または出資額常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(製造・建設など)3億円以下300人以下

特例事業者に該当する要件と拡充される内容

特例事業者に該当すると、通常より対象経費の範囲が広がり、賃上げ人数に応じた助成上限額が引き上げられる場合があります。

特例の代表例が「賃金要件」と「物価高騰等要件」です。事業場内最低賃金が一定額未満の事業場や、原材料費の高騰など生産量の減少に直面している事業者が対象になります。

特例に当たると、通常は対象外の自動車購入やパソコン・スマホの購入といった経費も条件付きで認められることがあります。自社が該当しそうなら、申請前にコールセンターで確認しておくと安全です。

業務改善助成金はいくらもらえる?コース区分と助成額の早見表

業務改善助成金の助成額は、引き上げる賃金額と対象となる労働者数で決まるコース区分により、1事業場あたり最大600万円まで支給されます。

業務改善助成金はいくらもらえる?コース区分と助成額の早見表

「いくら賃上げするか」と「何人上げるか」の掛け合わせでコースが分かれ、上げ幅が大きく人数が多いほど上限額も上がる仕組みです。

引上げ額・助成上限額ごとの早見表

コースは引上げ額30円・45円・60円・90円の4区分。それぞれ賃上げ人数ごとに上限額が設定されています。

業務改善助成金 コース別 助成上限額の早見表
引き上げる労働者数に応じた1事業場あたりの助成上限額。特例事業者はさらに上限が拡充される場合があります。
引上げ額1人2〜3人4〜6人7人以上10人以上(特例)
30円コース30万円50万円70万円100万円120万円
45円コース45万円70万円100万円150万円180万円
60円コース60万円90万円150万円230万円300万円
90円コース90万円150万円270万円450万円600万円

助成率と実質負担のイメージ

助成率は原則として、事業場内最低賃金の水準に応じて4分の3(75%)から5分の4(80%)です。生産性要件を満たすとさらに上がる区分もあります。

つまり自己負担は経費の2〜3割ほど。100万円の設備なら20万〜25万円程度の負担で導入できる計算になります。ただし上限額を超えた分は全額自己負担なので、上限とのバランスを見て設備を選ぶのが現実的です。

「助成率75%」と「上限額」は別物です。助成率が高くても上限を超えた費用は自己負担。設備価格は上限額に収まる範囲で計画するのが失敗しないコツです。

地域別・業種別の受給金額シミュレーション

例えば、時給を60円上げる対象者が4人いる飲食店が、150万円の配膳ロボットを導入するケースを考えます。60円コース・4〜6人の上限は150万円なので満額が対象。助成率80%なら120万円が支給され、自己負担は30万円です。

一方、30円コースで対象1人・上限30万円のところに80万円の設備を入れると、助成されるのは上限の30万円まで。残り50万円は自己負担です。人数と上げ幅を先に設計するかどうかで、受給額は大きく変わります。

業務改善助成金を申請するための3つの条件

業務改善助成金の申請には、①地域最低賃金との差が50円以内、②事業場内最低賃金を30円以上引き上げる、③業務効率化の設備投資等を行う、という3つの条件をすべて満たす必要があります。

業務改善助成金を申請するための3つの条件

事業場の最低賃金と地域の最低賃金の差が50円以内であること

申請時点で、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であることが条件です。

要は「地域の最低ラインに近い低めの賃金水準の事業場」を支援する制度、ということ。すでに高い時給を払っている事業場は対象になりにくい設計です。まず自社の一番低い時給と、都道府県の地域最低賃金を並べて差額を確認してください。

事業場の最低賃金を30円以上引き上げること

事業場内で最も低い時給を、就業規則等を改定して30円以上引き上げることが必須です。

引上げは口約束では認められません。就業規則や賃金規程、賃金台帳に反映し、実際に引き上げ後の賃金を支払った実績が必要です。この改定と支払いのタイミングが後述の落とし穴になりやすいので注意が必要です。

業務効率化に繋がる設備投資等を行うこと

賃上げとセットで、生産性向上や業務効率化につながる設備・機器の導入、研修、コンサルティングなどを行うことが3つ目の条件です。

ポイントは「効率化に結びつくこと」を説明できるかどうか。何時間の作業がどれだけ減るのか、なぜその設備が必要なのかを申請書で筋道立てて書けないと通りません。

業務改善助成金の対象になる経費と対象外になる経費の線引き

【2025年最新】知らないと損!業務改善助成金「賃上げ時期」の落とし穴と最適戦略|業務改善助成金
【2025年最新】知らないと損!業務改善助成金「賃上げ時期」の落とし穴と最適戦略|業務改善助成金

業務改善助成金の対象になるのは「業務効率化に直接つながる設備投資等」で、単なる備品の買い替えや快適性向上のためだけの支出は対象外です。

正直、この線引きが一番つまずきやすいところ。同じ物を買っても、目的の説明の仕方で通ったり落ちたりします。

対象になる設備投資等の一覧

機械設備の導入から、業務システム、研修まで幅広く対象です。代表的なものを整理します。

業務改善助成金の対象になる経費の例
区分具体例効率化の狙い
機械・設備配膳ロボット、自動包装機、業務用調理機器作業時間・人手の削減
ITシステムPOSレジ、在庫管理システム、予約管理システム入力・集計作業の自動化
車両(条件付き)福祉車両、特殊車両など運搬・送迎業務の効率化
人材育成業務効率化に資する研修・コンサルティング作業手順の見直し・生産性向上

車両が対象になる特定の条件

車両は原則対象外ですが、業務に不可欠で効率化に直結すると認められる特殊な車両や福祉車両などは、条件付きで対象になります。

単なる社用車や乗用車の購入は通りません。「その車でなければ業務が回らない」「導入で作業効率がどれだけ上がるか」を具体的な数字で示せるかが分かれ目です。特例事業者に該当すると自動車購入が認められる範囲が広がる場合もあります。

単なる設備交換・不快感軽減など対象外のケース

古い機械を同等品に入れ替えるだけの「単なる更新」、暑さ・寒さなど不快感を和らげるためだけの設備は対象外です。

エアコンや休憩室の設備など「快適性のため」の支出は原則NG。同じ物でも『効率化にどう効くか』を説明できなければ対象外になります。

パソコンやスマホの購入、汎用性が高く私的利用もできる物も、原則は対象外扱い。この辺りは判断が微妙なので、迷ったら購入前に必ず確認してください。

業務改善助成金の申請の始め方と入金までの流れ

業務改善助成金の始め方は、①交付申請書の提出→②交付決定→③設備の発注・導入と賃上げ→④実績報告→⑤助成金の入金、という順に進みます。

業務改善助成金の申請の始め方と入金までの流れ

最重要は順番。設備を買っていいのは「交付決定の後」です。この一点を外すと、どれだけ書類が整っていても不支給になります。

申請から交付決定・入金までのスケジュールの目安

申請から交付決定まで、そして実績報告から入金までにそれぞれ数週間〜数か月かかります。全体では半年前後を見ておくと計画が立てやすいです。

申請から入金までのスケジュール目安
段階やること目安
1. 交付申請申請書・事業計画書を提出賃上げ・発注の前に
2. 交付決定労働局の審査を待つ申請から概ね1か月前後
3. 事業実施設備の発注・導入、賃上げの実施決定通知の後に着手
4. 実績報告支払い完了後に報告書を提出事業完了後すみやかに
5. 助成金の入金額の確定後に振込報告からさらに1〜2か月程度

注意したいのは、助成金は「後払い」だということ。設備代はいったん自社が全額立て替えます。手元資金の準備は必須です。

申請に必要な書類の一覧と記入のポイント

申請には、交付申請書のほか、事業実施計画、賃金の状況が分かる書類、見積書などが必要です。

申請でそろえる主な書類
書類内容記入のポイント
交付申請書制度共通の様式事業場内最低賃金と引上げ後の額を明記
業務改善計画設備投資の内容と効果何がどれだけ効率化するかを数字で
賃金引上げ計画誰の時給をいくら上げるか対象者と引上げ額を具体的に
見積書設備・工事の金額根拠原則2社以上の相見積もりが望ましい
賃金台帳・出勤簿現状の賃金の証拠一番低い時給が確認できるもの

計画書で一番見られるのは「効率化の根拠」。『忙しいから』ではなく、『月◯時間の手作業がゼロになる』のように定量的に書けると審査が通りやすくなります。

交付決定後の実績報告書の作成と提出手順

交付決定後は、賃上げと設備導入を実行し、支払いまで終えたうえで実績報告書を提出します。

報告では、賃上げを反映した賃金台帳、設備の領収書・振込控え、納品書、実際に稼働している様子の写真などを添付します。計画どおりに実行したことを証拠で示すのがこの段階の役割です。

ここで支払い方法が現金だと認められないことがある点に注意。原則は口座振込で、証拠が残る形で払ってください。

【現場の実例】業務改善助成金で解決できた課題と活用例

業務改善助成金は、介護・建設・宿泊・飲食・卸売・製造など幅広い業種で、車両やロボット、システム導入といった形で使われています。

【現場の実例】業務改善助成金で解決できた課題と活用例

制度の文章だけ読んでもピンと来ないので、自社に近い業種のイメージから掴むのが早道です。

介護業・建設業での車両・設備導入例

介護業では、送迎に使う福祉車両など各種設備の導入が代表例です。乗降介助の負担が減り、送迎に回せる時間が増えます。

建設業では、車両をリースから自社購入へ切り替え、待ち時間や手配の手間をなくして作業効率を大きく高めた例があります。リース費が固定費として重いなら、購入への切り替えは検討の価値があります。

宿泊業・飲食業でのサービス改善例

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元エンジニア(アプリ開発) ・ 補助金診断ツールの開発・運営
サイト運営者。中小企業診断士・行政書士などの有資格者ではない(申請書類の作成代行はせず、必要に応じて士業へ送客する)。

元エンジニア。補助金の診断アプリを無料で作って公開している。対象なのに手間や情報の少なさで補助金を取り逃す中小の役に立てばと運営。公募中の制度を、経営者が読める言葉に翻訳して書く。申請書類の作成はしない(必要なら士業へ)。

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